みやぎ生協から「被災地・みやぎの今」 〔第52回〕

3.11を忘れない  みやぎ生協から被災地・宮城のいまをお伝えします 

住民による見守り活動で安心をつくる

 阪神・淡路大震災では、仮設住宅や復興公営住宅で誰にも看取られず亡くなり、しばらく経った後に発見される「孤立死」(※1)が社会問題になりました。2010年版高齢社会白書には孤立死は「生存中の孤立状態が死によって表面化したもの」との記述があります(※2)。家族や友人・隣人との接触がない、行政サービスともつながっていないなど、社会的に孤立している高齢者は少なくありません。
 東日本大震災発生からもうじき7年、復興公営住宅では、高齢の単身世帯などが地域社会から孤立してしまうことがないよう、様々な取り組みがなされています。

 仙台市は「復興公営住宅ワーキング」において、市・区役所関係課や社会福祉協議会などと個々の世帯の戸別訪問、保健福祉サービスの提供などについて支援方針を調整するとともに、コミュニティづくりについても連携して取り組んでいます。
 コミュニティソーシャルワーカーの大久保環さん(仙台市社会福祉協議会太白区事務所)は、住民主体の見守り活動や交流活動の支援にあたってきました。「復興公営住宅の入居者が、そこの地域の住民となってコミュニティを形成し、見守りも交流もある程度住民の手でできるようになるまで支援することが、私たちの役目」と話します。
 地域で見守り活動を担う福祉委員(ボランティア)は、その一例です。鹿野復興公営住宅では現在3人の福祉委員が月1回、高齢の一人暮らしの入居者を訪問しています。
 「玄関先で“変わりありませんか”と声をかけたり、お喋りしたり、いろいろですが、何か変わった事があれば地域包括センターや民生委員さんにつなぎます」と小野寺桂子さん。「訪問が無くても大丈夫」と言われた場合は、散歩や買い物で会った時に様子を伺うなど、入居者の気持ちに添った緩やかな見守りを続けています。「最近は、住民の皆さんも高齢の一人暮らしの方のことを気に掛け、“姿が見えないので心配”“先日会ったので大丈夫”などと、さり気なく見守りをしてくれるようになりました」と話します。

 困ったことが起きた時すぐ相談できる相手がいるコミュニティは、孤立リスクの高い高齢単身世帯に限らず、どの住民にとっても安心の材料です。見守り活動は人とコミュニティ、人と行政サービスをつなぐ役目を果たすと同時に、地域の安心もつくっているのです。

※1 現在、孤立死(孤独死)に明確な定義はありませんが、ここでは一般的な見方に従いました。
※2 「第1章/第3節高齢者の社会的孤立と地域社会」(2010年版高齢社会白書:内閣府)

▲鹿野復興公営住宅で見守り活動を行なう福祉委員の皆さん。左から藤原京子さん・小野寺桂子さん・平賀道子さん。活動が定着するにつれて訪問を楽しみに待っている住民が増えたそうです。