もし新型コロナウイルス感染症にかかったら…
パンデミック(世界的流行)が現実のものとなり、日々の暮らしに大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症。これを今回は保障の観点からみていきます。
指定感染症に指定されると?
新型コロナウイルス感染症とよばれる病気は2020年2月1日指定感染症法の「指定感染症」に指定されました。
① 疑わしい患者や確定された患者は強制的に隔離入院する。
② 仕事を強制的に休ませる。
③ 公費から医療費が賄われる。
④ 診断時に保健所、行政に届け出が必須。
といった措置がとられます。感染症ですので厳重に隔離できる感染症専門のベッドでの入院になります。三重県の感染症対応ベッドは235床(2020年5月1日現在)あります。※最新情報は、新型コロナウイルスダッシュボードhttps://www.stopcovid19.jp/でご確認ください。
次に日本の致死率をグラフでみておきます。令和2年4月30日までの状況です。

厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(2020年5月1日)
40代で333人に1人、60代で50人に1人80代以上で8人に1人が命を落としていることになっています。
入院や死亡の場合の民間の保障は?
◯医療保険
入院給付金 |
受け取れます。 「指定感染症」に指定されたので医療費は国が全額負担することになります。 また民間の医療保険、共済から検査結果が陰性、陽性にかかわらず入院給付金を受け取ることもできます。自宅、ホテル、宿泊施設など医療機関以外で隔離された場合でも医師の指示、診断書などがあれば、多くの生命保険会社、共済では入院給付金が給付されます。 |
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死亡保険金 |
受け取れます。 万が一お亡くなりになった場合は病気死亡給付金が受け取れます。 |
災害(割増)死亡保険金、災害(割増)高度障害保険金 |
受け取れる場合もあります。 「所定の感染症を直接の原因として死亡された時」という規定がある場合、受け取れることになりますが、今回の感染症が「所定の感染症」に該当するかどうかは各保険会社の判断によります。所定の感染症は第1類から第5類まであり、新型コロナウイルス感染症はまだ分類されていません。そのため現状では「所定の感染症」※にはあたらず、支払いの対象外となる判断の傾向があるようです。 ※金融庁から4月10日に生命保険協会などに「新型コロナウイルス感染症は厚生労働省より指定感染症から一類感染症又は二類感染症等に位置付ける予定である」との見解を受けて給付に柔軟な対応を取るように要請がありました。4月16日以降かんぽ生命、日本生命などは、死亡時は災害割増の対象とすると発表しています。 |
◯就業不能保険
受け取れない場合がほとんどです。
病気やけがなどで働けなくなった時に公的に傷病手当金や障害年金を受けとることができますが、十分とは言えません。それを補うものが民間の就業不能保険です。長期保障(60歳まで、65歳までなど)で生命保険会社の商品です。
30日、60日、180日などの「支払対象外期間」※1があります。新型コロナウイルス感染症は症状にもよりますが平均入院日数は14.3日 ※2でそれほど長くはなく、就業不能保険では給付金を受け取る対象にはならないケースが多いと考えられます。
※1働けなくなった時から初めて保険金を受けとれるまで30日、60日など商品によって受け取れない期間を定めています。
※2感染症発生動向調査及び積極的疫学調査により報告された新型コロナウイルス感染症確定症例287例の記述疫学(2020年3月9日現在)国立感染症研究所
◯所得補償保険
受け取れます。
病気やけがで働けなくなった時、所得を補う保険です。
補償期間は1~2年程度のものが多く損害保険会社が扱う商品です。
新型コロナウイルスによる肺炎は疾病として補償の対象となります。ドクターストップにより休業して8日目から補償されるものが一般的です。
◯海外旅行保険
受け取れます。
・責任期間※1中に発病、感染し責任期間終了後30日以内に死亡した場合
・渡航先で感染、発病し現地で治療を受けた場合、責任期間終了後に発病し72時間経過するまでに治療を開始した場合(72時間から30日以内に延長する保険会社もでてきました。
以上の場合に保険金が支払われることが多いようです。
※1保険会社が責任を負う期間。一般的に海外旅行の目的をもって住居を出発した日から住居に帰着する日までをいいます
最近の保険商品に付帯されることが多い電話による無料健康相談サービス、ここでも新型コロナウイルスについて対応しています。ただ、利用できる商品は限定されている場合が多いようです。
保険料が払えないときは?
新型コロナウイルスによる影響で保険料の払い込み、また契約更新が困難な場合は契約者が申し出れば最長で2020年9月30日(一部保険会社は8月31日)まで払込猶予期間、手続きの期限を延長できます。ただ、保険料の支払いが免除されるわけではないので注意が必要です。コープ共済も共済掛金の払込猶予期間を設けております(詳細はホームページcoopkyosai.coop/でご確認ください)。
最後に…
新型コロナウイルスの感染はまだ始まったばかりといえます。万が一の場合に備え、わが家の保険証券を読み直し、どのような保障がうけられるのか確認し、わからなければ保険会社に問い合わせをしておきましょう。
病気にならないためには、手洗い、うがいはもちろんのこと、無理をせず睡眠をよくとり、栄養をこまめにとること、これが病気と闘ううえでの基本です。命を守りましょう。
※このコラムは2020年5月7日現在のものです。今後、新型コロナウイルス感染症の拡大状況によって保険会社、共済の対応が変わる可能性もあります。加入している保険会社、共済のホームページ等で、最新で確実な情報を得るようにして下さい。