コープみえLPAの会からのコラム、第2弾です。よろしければご感想をお寄せください。また、「くらしのお金」にまつわる知りたいテーマなどがあればご連絡ください!
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社会人なら知っておきたい!給与明細について。
給与明細をじっくり見たことがありますか。
今は、紙でなくデジタル化でスマホやパソコンのこの画面で明細を見ることが多くなっています。興味があるのは、銀行通帳に振り込まれる額だけという人もいるのでは!差引支給額つまり、手取額だけを見ておしまいという人、もったいない!自分の総支給額はいくらで、税金や保険にどれくらい払っているか、すぐに言えますか。
給与明細を読めば、あなたの保障がみえてくる!
最初に、給与明細書にはどんな項目があるのか、みていきましょう。
給与明細に記載されている項目は一般的に、 「勤怠」「支給」「控除」の3つです。
「勤怠」には
出欠日数や残業時間などの「勤務の状況」が書かれています。出勤日数に間違いがないか、確認しましょう。給与明細は、各職場によって多少の様式に違いはあります。出欠日数が記載されていないものもあります。
「支給」には
基本給や各種手当などの「支払われるお金」が、書いてあります。何にどれくらい支給されているか、押さえておきましょう。
「控除」には
社会保険料や、税金など、給料から「差し引かれるお金」が書いてあります。
・社会保険
健康保険(40歳以上の場合は 介護保険も)や厚生年金保険、雇用保険に係る保険料があります。
・税金
所得税と住民税の2つがあります。
前年のお給料が住民税に反映されるのは、6月以降です。給与明細に加えて5月から6月にかけて会社から配布される住民税の税額決定通知書で確認をしましょう。
その他、財形貯蓄や組合費、会社の団体保険で入っている生命保険料などが差し引かれる場合もあります。
ここまでは、給与明細に書いてある3つの項目についてでした。
1.控除される4つの保険についてみていきましょう
【健康保険】
「健康保険」というと、病気やけがをしたときに医療費の自己負担額が3割になるということはご存じですね。他には、どんな保障があるかご存じですか。
1ヶ月あたりの医療費が一定額を超えると、加入している健康保険からお金が戻ってくる高額療養費制度があります。
サラリーマン(協会けんぽ、組合健保)の方は、病気やけがなどで会社に行けない場合、傷病手当金があります。連続して3日休んだ後、4日目から最長1年半、給料※1の約3分の2が支給される制度です。
また、出産時には、「出産手当金」として、産前42日、産後56日の合計98日間、給料※1の約3分の2が受け取れます。
※1給料(標準報酬日額)支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日× 2/3
【厚生年金保険】
「厚生年金」は、20歳以上の国民が原則加入している国民年金に、サラリーマンや公務員がさらに上乗せして保険料を払い、将来年金として65歳から※2受け取れる制度です。しかも、この年金は、終身年金、つまり身が終わるまで受け取ることができます。
※2 男性は昭和38年4月2日生まれ、女性は昭和41年4月2日生まれ以降のかたの場合
保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)は、「標準報酬月額(4・5・6月の総支給額の平均)×保険料率」で計算します。厚生年金保険料も、先ほどの健康保険料も、「労使折半」といって、保険料を会社と本人が半分ずつ支払っています。 つまり、4~6月分の給与が多いと、その分健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料が多くなるという仕組みです。
厚生年金の保険料率は、2012年から段階的に上がってきていましたが、2017年9月以降は18.3%で固定されています。
さらに、障害を負ったときには、障害厚生年金が支給されます。厚生年金に加入していた人が死亡した場合は、死亡した人によって生計を維持されていた妻・子・孫、55歳以上※3の夫・父母・祖父母に遺族厚生年金が支払われます。国民年金のみ加入している自営業やフリーランス、専業主婦の人に比べると、手厚くなっています。
※3 配偶者死亡時55歳以上で60歳から支給になります。
【介護保険】
40歳からは、「介護保険料」の徴収が始まります。念のため、20~30代の人は、介護保険料が引かれていないかを確認しましょう。
【雇用保険】
雇用保険は、31日以上の雇用見込みがあり、1週間当たりの所定労働時間が20時間以上である従業員は必ず加入します。雇用保険は、従業員が失業した時に次の職に就くまでの生活資金を受け取ったり(失業保険)、ハローワークで職探しの支援を受けたりするための保険です。
雇用保険料は、総支給額に対して、0.9%の保険料率となっており、会社0.6%、本人は0.3%(一般事業所の場合)の保険料を負担しています。給与明細では、このうち従業員負担分が控除されています。
たった数百円(月額)の保険料で、会社を辞めてから次の仕事が見つかるまでの手当として、雇用保険から失業保険を受給することができます。(2017.4改定)
給付額、給付日数は、それぞれの条件(年齢、就労期間、給与等)で異なります。必要時は、居住地のハローワークに相談しましょう。
また、在職中も育児休業をするときの育休手当(育児休業給付金)や、キャリアアップのために資格試験を受けたり、講座を受講したりしたときの教育訓練給付金を受け取ることができます。
ここまでは、給与から控除されている社会保険についてでした。
次は、税金です。
2.給与から控除される税金は、所得税と住民税の2つ
給料収入の一部には税金がかかります。税金がかかる部分は給与明細上で「課税対象額※4」と記載されています。この金額に対して所得税と住民税がかかります。
「税金」は国や地方自治体など公的サービスの財源となります。
※4 「課税対象額」とは、支給項目欄にある「課税支給額(課税合計)」から控除項目にある「社会保険料合計額」を引いたものです。つまり、社会保険料は会社からいったん支給されますが、そこから従業員が負担する金額を天引きするので、天引き部分には課税されないようになっています。
【所得税】
所得税とは、所得の額に応じて国に納める税金です。所得税の正式な確定額は、年末調整や確定申告によって決定しますが、会社員・公務員の場合は、毎月の給与をもとに会社が概算の税額を算出します。そして、概算額を毎月の給与から天引きして、会社が納税してくれます。これが「源泉徴収制度」です。
所得税の税率は所得の額に応じて5%~45%で定められます。毎月の給与からの源泉徴収では、給与明細上の「課税対象額」に応じて、概算の税額が天引きされます。
ただし、住宅ローンを組んでいる時や生命保険、地震保険の保険料を支払った時などは、税が軽減されて納めるべき税額が変わることがあります。これを調整するのが年末調整です。年末調整では、毎月天引きされた税額の合計と、1年分の所得から確定する税額との差額を精算するもので、天引きだけで足りない分は年末に追加で天引き、引かれ過ぎた分があれば戻ってきます。
【住民税】
住民税は、毎年1月1日時点に住民票がある住所地の市区町村に納める税金です。会社員・公務員の場合は、所得税と同じように毎月の給与から勤め先が天引き・納税します。
住民税額は、前年(2019年)1月1日から12月31日までの給与総額をもとに算出され、2020年6月以降に給与から天引きされます。前年の収入がなければ、今年(2020年)の住民税は徴収されません。
3.その他の控除
「その他の控除」の欄には、社内預金や財形貯蓄、確定拠出年金など、会社独自の貯蓄制度等の天引き分も記載されます。給料からの天引きは、確実に貯めることができるのでお勧めです。
「控除」は、給与からの天引きになるため、「取られている」というイメージで捉えられているかもしれません。しかし、「社会保険」は、未来の社会的なセーフティネットであり、「税金」は国や地方自治体など公的サービスの財源になります。
ご自身の将来設計のためにも勤めている企業の制度を確認し、財形貯蓄や確定拠出年金などの加入を検討してみましょう。
参照
・日経doors「20代からのマネー入門」
・加藤梨里ファイナンシャルプランナー執筆 「給与明細の見方」
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