新年のごあいさつ
生活協同組合コープみえ
理事長 鈴木 稔彦
新年あけましておめでとうございます。謹んで新年のご祝詞を申し上げます。
一昨年からのコロナパンデミックは、私たちのくらしに実に様々な変化をもたらしました。当たり前に思い描いていた日常がどんどん奪われていく恐怖を伴った不安を感じたのは私だけではないと思います。そして医療崩壊が発生し、医療さえ十分に受けられないままに生命が失われていくという現実もありました。もうこうした理不尽は終わりにしたいものです。この新しい年は誰もが安心してくらすことのできる日々となることを祈るばかりです。
生協は19世紀のイギリスにおける産業革命のなかで困窮していた労働者たちが人間らしいくらしを取り戻そうと、わずかな賃金から少しずつ資金をだしあい、公正でごまかしのない商品を仕入れ、組合員に販売したことから始まったとされています。それまでにも同様の考え方でくらしを守るための取り組みはあったのですが、マンチェスター郊外のロッジデールという町の「公正開拓者組合」において、その後の生協の発展に繋がる「原則」が定められ、経済的にも成功しました。その後、この「ロッジデール原則」は時代によって少しずつ形を変えながらも現在の協同組合に受け継がれ、世界中で協同組合が活躍しています。
今、世界は貧困や飢餓、差別、戦争、温暖化による気象災害など、大きな危機に直面しています。これらの危機は、犠牲や矛盾を他者におしつけ、人々の分断を拡大させるような社会の発展のあり方に起因しています。つまり私たち自身が作り出した危機です。その大きな危機感から世界の叡智として「持続可能な開発目標=SDGs」が定められたのですが、社会的課題の解決が目的であった生協と「SDGs」は同じものを目指していると言えます。
今年、コープみえは設立から20周年をむかえます。
世界の大きな危機の中だからこそ、生協の役割は大変重要になってきています。一人のくらしのなかの小さな想いや願いは細く短い1本の糸とも言えないようなものかもしれません。しかし、その糸を紡ぎ、織り合わせることで厳冬のなかでも身体を温める毛布を編み上げていくことが必要です。どの糸がかけても毛布は完成しません。組合員一人ひとりの声を大切に「つながりあう安心、笑顔が輝く くらし」の実現をめざしていきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。